感覚統合療法という療育の方法をご存じでしょうか?
主に作業療法の一つとして知られていて専門的な知識が必要ですが、感覚統合遊びとして家庭でも取り入れられます。
この記事では、感覚統合とはどのようなことを指すのか、感覚統合療法では具体的にどのようなことを行うのかについてご紹介します。
もくじ
感覚統合とは
感覚統合とは、様々な感覚を整理したりまとめたりする脳の機能のことです。
私たち人間は、普段生活する上で視覚、聴覚、触覚、前庭感覚、固有受容感覚などを無意識に脳で処理しながら活動しています。
例えば、キャッチボールをしている場面だとすると…
・前から飛んできたボールを目で追う(視覚)
・ボールとの距離感を把握し自分の体を動かす(固有受容感覚)
・手でボールをキャッチする(触覚)
・体を傾けボールにスピードが加わるように投げる(前庭感覚)
・一緒に遊んでいる友だちの声や周りの騒音が耳に入る(聴覚)
といったように、たくさんの情報や感覚を瞬時に脳で整理しながら遊んでいます。
感覚統合がうまくいけば様々な活動をスムーズに行うことができますが、逆に言えばこの感覚統合がうまくいかないと生活に困難を感じやすいです。
具体的には、集中力がない、感覚過敏、不器用、言葉の遅れ、コミュニケーションの困難などで問題が起こってきます。
感覚統合療法とは
感覚統合がうまくいかない子どもに対して、様々な道具や遊び方を通して感覚を身につけていけるよう支援することを感覚統合療法と呼んでいます。
感覚別に、具体的な方法や遊びをご紹介していきます。
【視覚】
発達障害のある子は視覚支援が有効で、目で見てわかりやすい色や形などを用意することで楽しく遊びながら感覚が養われます。
・色分け(色ごとに違う容器に入れるなど)
・数分け(数を数えておはじきなどを分ける)
・パズル(同じ形を見つける)
・絵の具(好きな色を選んだり混ぜたりする)
【聴覚】
耳から入ってくる情報は感覚過敏な子にも感覚鈍麻な子にも有効なので、心地よく感じられる音や音楽を用意しましょう。
・ピアノ
・打楽器(タンバリン、カスタネットなど)
・リズム遊び(音楽に合わせて体を動かす)
・ミュージックケア(音楽に合わせて歌う、歩く、ストレッチするなど)
【触覚】
手や肌で触れて感覚を感じることで、物を認識したり素材や固さなどの情報を取り入れたりできるようになります。
・粘土
・スライム
・ボールプール
・目隠しボックス(箱の中に何が入っているか当てる)
【前庭感覚】
前庭感覚とは平衡感覚のことで、姿勢を維持したり物の速さを認識したりするためにあります。
・シーソー
・ブランコ
・トランポリン
・すべり台
・バランスボール
【固有受容感覚】
固有受容感覚とは筋肉や関節を調整する感覚のことで、力の入れ方や距離感など自分の体をうまく使いこなすことに繋がります。
・綱引き
・おしくらまんじゅう
・新聞破り
・ぞうきんがけ
・重いものを運ぶ
まとめ
感覚統合療法は、日常の様々な動きに繋がる大切な感覚を養うものです。
子どもの「苦手」や「課題」は、この感覚統合と密接に関係のあるものが多く、どの感覚を強化することで力が伸びるかというヒントにもなります。
ぜひ参考にして、家庭で取り入れられそうなものがあれば楽しく遊びながら感覚にアプローチしてみてください。
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