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発達障害児によくある感覚処理障害の例

発達障害児には感覚処理障害を持っている人が多くいます。

感覚処理障害とは、聴覚や視覚・嗅覚などの感覚が過敏や過少に反応してしまったり、本来とは違った感覚になる症状のことを言いますが、具体的にどのようなことが起きるのか知っていますか?

なかなか言葉で理解しているつもりでも、どんな風に感じるのかわからない人も多いですよね。

そこで、感覚処理障害の例について紹介していきます。


 

もくじ



 

 






感覚処理障害とは

聴覚や視覚・嗅覚などの五感を通じて得る情報を脳が受け取り、処理するときに問題がある状態のことを感覚処理障害と言います。

感覚処理障害では、社会的スキルだけではなく、教育・睡眠・食事・遊び時間など日常生活にも大きく影響を及ぼす恐れがあります。

発達障害児には、しっかりと自分に起きている状態を説明することが難しい子もいるため、感覚処理障害で起きる日常生活での影響がどのようなものかを理解することがとても重要です。


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感覚過敏

過敏という言葉の通り、聴覚や視覚・聴覚など五感が過敏になっている状態のことを言います。

普段生活していると様々な音が鳴っていたり匂いがしていたりしますが、大抵の人は気にも留めないことがほとんどです。

しかし、感覚過敏の人は音や匂いなど無視することができずに、過敏に反応してしまうことがあります。

また、過敏であることから避けようとする行動を「感覚回避」とも呼びます。

そこで、五感別で感覚過敏で起きる例を紹介します。



視覚

・太陽の光や反射した光がまぶしく感じて目を開けていられない

・特定色が強調して見える

・文字が歪んで見える(動いて見える)

・紙など白いものが光って見えるので、絵や文字が見えにくい

 

視覚での感覚過敏では、光や色に対して過敏に反応してしまうことが多いです。

感覚回避として、光から逃げるように暗闇を好んだりすることがあります。



■聴覚

・遠くの音でもすぐに反応する

・ざわざわしている場所が苦手

・特定の音が嫌い(苦痛を感じる)

 

<苦手な音>

・人の声(子供の鳴き声や話し声)

・動物の鳴き声

・掃除機・ドライヤー

・運動会などで使われるピストルの音

・突然な音(非常ベル・校内放送)

・冷蔵庫などの機械音

・バイク

 

聴覚での感覚過敏では、大きな音や突然な音などだけではなく冷蔵庫などの日常生活音にも過敏に反応してしまいます。

どう聞こえているのか本人にしかわからないため、耳を抑えていたりなどの感覚回避行動をしているか気を配ることが大切です。



■触覚

・服の質感やタグなどが気になって着れる服が限られる

・人に触られるのが嫌(散髪ができない、ペアでの体育参加ができない)

・口の中にものを入れるのが苦手で歯ブラシができない

・塗り薬や湿布など塗られている感覚や塗った後の感覚が苦手(使えない)

・のりや粘土が手につくのが嫌で使えない

 

着られる服が限られる中で、プールなどで着用する水着が着れないなど授業に参加できないなどが起きてしまいます。

タグがないものやシームレス(継ぎ目のない)服などもあるので、気に入った服を探してみるといいでしょう。



■味覚

・決まったものしか食べない

・辛味や苦味などが強く感じてしまう

・苦手な食感があって食べれないものがある(シャキシャキが苦手→蓮根が食べれない)

・料理が熱く感じる

 

味覚障害では、特定の食べ物に対して過敏に反応してしまい、偏食になりがちです。

栄養が偏ってしまうので、味覚だけでアプローチするのではなく視覚的に楽しめるようにするなど工夫するといいでしょう。



■嗅覚

・特有の匂いが嫌いで部屋に入ると頭痛がする

・様々な匂い(体臭や柔軟剤)がして人混みが苦手

・特定の飲食物の匂いが苦手で食べれない

・匂いが苦手で電車や車で吐き気がする

 

嗅覚過敏は、様々な匂いのする場所や人混みがとても苦手で、匂いを感じると吐き気や頭痛を起こしてしまう人もいます。

マスクをしてみるなど少しでも匂いがしにくいようにすると少しマシになることがあるので、活性炭入りのマスクなどを使ってみるといいでしょう。






感覚鈍麻(どんま)

感覚鈍麻(どんま)とは、感覚過敏とは逆で、五感などから感じる情報に対して反応が低いことです。

感覚鈍麻の場合は、火傷するほど熱いものを触っても気づかなかったり、怪我をしても痛みを感じなかったりと大怪我に繋がってしまう恐れがあります。

また、刺激に対して反応が低いことから、強い刺激を求めて行動することがあり、その行動を「感覚探求」と言います。

感覚過敏では、拒絶反応など本人が訴えることが多いため気付きやすいですが、感覚鈍麻は本人も気づいていないことが多いため、周囲も気づきづらい特徴があるので具体例を確認して似たようなことを行なっていないか注意しましょう。



■視覚

・暗い場所では色の違いが分かりにくく、物の識別に時間がかかる

・明るさや動きに気づきにくく、周りと同じように素早く動けない(ワンテンポ遅れる)

・視覚的情報が多くあると、処理しきれずに混乱してしまう

 

周囲の視覚情報に気づきにくいため、周りが次の行動に写っていても気付かずかないことがあります。



■聴覚

・後ろから声をかけられても気付かない

・学校で全体へ話していることに気付かない

・連絡事項を聞き逃してしまう

 

音に対しての反応が遅いため、声をかけられていても気付かず、反応がないため無視をしたように見えてしまうことがあります。

また、遊びのルールや連絡事項を言葉で言うだけでは聞き逃してしまうので視覚でも確認できるようにするのがおすすめです。



■触覚

・暑さがわからず、熱中症になってしまう

・寒さがわからず薄着をして風邪を引いてしまう

・熱いものを触ってもわからない

・傷ができていることに気付かない

 

気温の変化や自分の体温に対して感じにくく、さらには痛みも感じにくいのです。

喉の乾きに気付かず脱水症や虫歯の治療が遅れてしまうなど、重症化してしまう恐れもあるので注意するようにしましょう。



■味覚/嗅覚

・味の濃いものを好む

・辛いものが好き

・腐りかけているものでも食べようとする

 

味や匂いがわかりにくいことから、味の濃すぎるものや腐ったものなどを食べようしてしてしまうことがあります。



固有感覚

・壁や机、人に体をぶつけてしまう

・強い足踏みを何回もする

・身体の一部を常に動かしている(手をひらひらする、首を振る、足を揺する)

 

固有感覚とは、体の動きをつかさどる感覚であり、この感覚が鈍くなると自分の身体の大きさなどが捉えにくいのでいろんなところで体をぶつけてしまうことがあります。

また、動きを感じにくいことから刺激を求めて体を動き続けるなどの「感覚探求」を行うこともあるのが特徴です。



平衡感覚

・頭を強くぐるぐる回す

・ブランコやまわる遊具が好きで長時間遊び続ける

 

平衡感覚が鈍くなると自分自身で体の揺れや傾きを調節することが難しいです。

刺激を求めるためぐるぐる回ったり「感覚探求」行動が起きやすくなります。






まとめ

感覚処理障害の例をみてもらって、そういえばそんな行動とっていたかも…と思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。

感覚過敏であっても感覚鈍麻であっても「周りと感じ方が違う」と言う理由で感覚を否定せず、その子がどんな世界に見えているのか、感じているのかまずは知ってみてください。

一緒に感じることで、どうすれば過ごしやすくなるのか、寄り添って考えやすくなるでしょう。

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